
評価 A ※エロゲランキング 30位(令和2.8.6現在)
【シナリオA 面白度A 演出A 絵A キャラA システムA 音楽A H度なし プレー時間 13時間】
作品名 / メーカー名 ATRI -My Dear Moments- / ANIPLEX.EXE
ジャンル 全年齢 ロープライス 夏ゲー
推奨攻略順 Bad end →Good end→True end
※前ふたつのエンディングを通過後、True endがタイトル画面に浮上します。
(Trueはおまけ程度の尺なので、あまり期待しないほうが良いでしょう)
※攻略難易度は簡単です。
●ウイルスソフト“McAfee”により、ゲームが落ちてしまう場合
マカフィーリブセーフのリアルタイムスキャンの選択画面にて、“15分無効にする”を選んでからATRIを立ち上げてみてください。ゲームが落ちることは、なくなるはずです。
あらすじ
世界規模で起こった急激な海面上昇により、海抜の低い沿岸部は町ごと海に沈んでしまいました。
原因は不明で、いまもじわじわと陸地を飲み込みつづけています。
その謎の現象により、主人公“斑鳩 夏生”の家も海に沈んでしまったため、彼は船で寝泊まりをしています。
ある日、船におまけで付属しいた潜水艇で海に潜ってみると、棺のなかで少女が眠っていました。
夏生「生きてる……」
夏生はその少女を連れて、船に上がりました。
水菜萌「この子、どこから来たの?」
夏生「海の底でみつけたんだ」
このお話は、夢を諦めていた少年と、何年も海底で眠っていたロボット “ATRI” の恋物語です。
感想・レビュー
“ATRI -My Dear Moments-” の感想を一言で表現すると「コストパフォーマンスが極めて高い」です。
価格は2,200円(税込み)。プレイ中に「こんな安価でいいの?」と首をかしげてしまうほどの、素晴らしいシナリオや演出でした。
今作を攻略したプレイヤーの評価が、一様に高いのもうなずけます。
まずシナリオについてです。
物語半ばまでは、“挫折した主人公がなにかを作りあげて達成感を味わう” みたいな、今作を書いたライターさんのおはこ展開がつづきます。
まるで PULLTOPの作品をプレイしているような錯覚さえ覚えました。
しかしシナリオが進行するに連れてシナリオにテーマ性が含まれてきたり、いままでのPULLTOP作品では感じることのできなかった予想だにしない展開が垣間見えはじめます。ここはATRIを楽しむ要素のひとつだと思います。
逆に残念に感じた点は、物語に厚みがなかったことです。僕の“傑作評価”の基準は、もう一度プレイしたい作品かどうかなのですが、この点においてはライターさんの過去作同様に、一周でお腹いっぱいになってしまいました。
シナリオレビューのつづきは、最後の “総合評価” に記します
その他の感想です。
ロープライス作品のため総CG数は多くありません。しかしHシーンがない分、通常シーンにその分のCGが充てられています。ですのでCG数の不足は感じませんでした。
また、今風の動きのある魅せ方で、ビジュアル的にも十分に楽しませていただきました。
システムはバックログジャンプもあり、オートモードを含め使い勝手は良かったです。しかし “次の選択肢へのジャンプ” が、物語の節目節目で止まってしまうため、いまいち使えませんでした。
●主な登場人物の紹介です。
「斑鳩 夏生」 主人公 高等部2年
8歳のときにトンネル崩落事故で右足を失いました。母親はそのときに亡くなり、彼は船で生活をしています。
頭は良く、完璧そうに見えますが、少し抜けているところもあります。
「神白水菜萌」 サブキャラクター 高等部1年
家は地元の名士で、父親は町長をしています。
控え目な性格で、他人の幸せを自分の幸せ以上に喜こぶことができる、心の清らかな少女です。
アトリ曰く「水菜萌はとてつもなく善人」だそうです。
「アトリ」 ヒロイン ヒューマノイド
毎日、学校へ行くのか楽しみでしょうがないアトリです。まもなく自分が機能を停止してしまうと分かっているはずなのに……。
物であるはずの彼女をつうじて、“生きる” ということを考えさせられました。
※登場人物は他にも多数います。むしろロープライス作品のなかでは、登場人物が多い部類に入ります。
●総合評価
パソコンにしても車にしても年月が経てば、わたしたちはケロリと新しい物へ乗り換えていきます。それらの機械は人間の要望に応えるために、文句も口にせず日々働きつづけてくれたというのに……。
もしも物に心があるとしたらどうでしょうか。その人間の行為は、極めて不誠実だと言えるでしょう。
アトリというヒューマノイドの少女をつうじで、そんなことを感じました。
今作は全年齢作品です。そのメリットは、HシーンにCGを割り当てる必要がない点です。
つまりその分のCGを通常シーンに割り当てることができたり、総CG数を減らせる分、ゲームを安価に抑えることが可能になります。
今作を皮切りに多くの人が、安価で質の高い美少女ゲームをプレイできる環境が増えてくれることを願っています。
また全年齢作品は世界へ目を向けることができます。いつの日かアニメ作品のように、日本の美少女ゲームが世界中で話題になる日が来るかもしれません。
色々と御託を並べてきましたが、今作“ATRI -My Dear Moments-”は、わたしがいままで攻略してきたロープライス作品のなかではベスト1です。
特にヒロインのアトリを気に入った人は、ぜひプレイしてみて下さい。おすすめです。
